シンガポール上空の風(データのソース)
/home/atmos/ipesc/sample/qbo/
各圧力面の風速を抜き出したものが,10hPa.dat, 12hPa.dat, ... などというファイル名で保存されている. 1列目は1987年から数えた月数(1987年1月が1,1988年1月は13,以下略),2列目は圧力(hPa),3列目は月平均の東西風速(0.1 m/s). 各列は「,」はで区切られている.
まず,20 hPa の風速を描いてみる.
gnuplot> set datafile separator ',' gnuplot> plot '20hPa.dat' u 1:3 with lines
横軸を年に,縦軸を m/s にする
gnuplot> plot '20hPa.dat' u (($1-0.5)/12+1987):($3/10) with lines
正の風速は西風,負の風速は東風. シンガポール上空の成層圏(20 hPa はおおよそ高度27 km くらい)の風は,東風になったり西風になったりしている. かっちりした周期があるわけではないが,平均すると約27ヶ月の周期で振動しているため,準2年周期振動(quasi-biennial oscillation, QBO)と呼ばれている.
もうひとつ,別の高度の風速を重ねて描いてみる.
gnuplot> plot '20hPa.dat' u (($1-0.5)/12+1987):($3/10) with lines, '40hPa.dat' u (($1-0.5)/12+1987):($3/10) with lines
40 hPa でも同様に振動しているのだが,位相が少しずれている(振幅もちょっと違う).
拡大してみると,よくわかる.
gnuplot> set xrange [2000:2010] gnuplot> replot
複数の高度で風速の測定がされているので,全部まとめて図にしてみる. 全部をひとつにまとめたファイル all.dat を使って
gnuplot> splot 'all.dat' u (($1-0.5)/12+1987):2:($3/10)
3次元でプロットしただけだと,よくわからない.
3次元プロットをやめて,等値線を描いてみる.
gnuplot> unset surface gnuplot> set contour gnuplot> set view map gnuplot> set logscale y gnuplot> set yrange [100:10] gnuplot> splot 'all.dat' u (($1-0.5)/12+1987):2:($3/10) with lines
縦軸は上が高高度で下が低高度になっていて欲しいので,yrange で縦軸をひっくり返している.
また,縦軸を対数にした(圧力は高度の指数関数で変化する(静力学平衡の関係は覚えていますよね?)ので,圧力の対数は高度に比例する).
風向の入れ替わりは,高い高度の方が先で,低い高度へとだんだん降りてくる(20 hPa の風速と 40 hPa の風速を比べたとき,位相がずれていたのはこのせい).
風向の変化がわかりやすくなるように,色を付けてみる.
gnuplot> unset contour gnuplot> unset key gnuplot> set surface gnuplot> set palette defined(-1 "blue", 0 "white", 1 "red") gnuplot> set cbrange [-50:50] gnuplot> set pm3d interpolate 0,0 gnuplot> splot 'all.dat' u (($1-0.5)/12+1987):2:($3/10) with pm3d
青は東風,赤は西風,白は無風.
赤道上空の成層圏の風速は,東風のときの方が西風のときよりも速いので,青と赤は対称になっていない(青い色の領域は赤い色の領域に比べると濃い色で塗られている).