探査機「はやぶさ2」は,当初に計画された探査を終えて,現在は拡張ミッションとして新しい探査を実行するべく宇宙空間を航行中です. 拡張ミッションでは,2026年7月に小惑星 (98943) 2001 CC21 をフライバイして観測する予定になっています. 探査機到着前に地上観測で対象天体を調査し,事前情報を積み増すことで,フライバイ探査をより実り多いものにすることができます.
機材を車に載せて四国まで移動しましたが,空は雲でべったりと覆われていて,観測することはできませんでした.
岡山大学チームは,岡山大学の教職員と学生さん合わせて4名,北海道大学の学生さん(広島に帰省中)2名,東広島に在住の方1名,合計7名で観測をおこないました.
このときはまだ,対象となる小惑星の軌道の推定誤差が大きかったため,予想される軌道の中心に固まるのではなく,広がって観測することになりました. 小惑星がどこを通過するかわからないので,広く網をはって,どこか1カ所ででも小惑星の通過を捕まえようという作戦です.
18地点で観測をおこなった結果,うち1地点で掩蔽が観測されました.
この夜の観測が小惑星の掩蔽を捕らえたことによって,小惑星の軌道推定の精度は大幅に向上しました. 軌道推定の精度があがったことで,観測者を集中的に配置して小惑星の大きさや形状を明らかにしていくという,次の段階の観測を計画することができるようになりました.
写真は観測前に東広島天文台かなた望遠鏡を見学させてもらったときのもの.
予報精度がぐっと向上した後の観測機会でしたが,天気が悪く観測はできませんでした.
小惑星によって隠される星が5.1等と明るく,よい条件で観測することができるため,かなり期待して鹿児島入りしました.
この夜は16地点で観測がおこなわれましたが,掩蔽は観測されませんでした.
3/5の観測によって小惑星の軌道推定の精度は上がったのですが,まだ誤差が大きかったようで,小惑星は観測の網をすり抜けてしまったようです.
田んぼの真ん中で観測準備中.