岡山大学理学部望遠鏡

飛行機の通過

2017年11月16日22:16，天王星を観測中に視野内を飛行機が通過．

視野はおよそ0.5度x0.5度，フィルターはVを使用．

右上がりに伸びる３本の平行な直線は航空機に灯りによるものと思われる．３本の直線は真ん中が最も明るく，下は暗い(かすかに見える程度)．途中にストロボの発光によると思われる輝点が５つある(上と下は２つずつ，真ん中は１つ)．

• 航空機の製造会社
  • 翼端のストロボの発光間隔を見ると，２回セットで点滅しているので，航空機はエアバス機と推定(ボーイング機は１回らしい)．
• 進行方向
  • 航空機は主翼の右端と左端にそれぞれ緑と赤のライトを灯けることになっている(らしい)．Ｖバンドだと右は左よりも明るく見えるはずなので，写真の上が航空機の右で，下が航空機の左とわかる．下から見ているので，飛行機は左から右へ移動したことがわかる．
• 距離と高度

  • 観測者から航空機までの距離を r，観測者から見た航空機の高度角を E，航空機の進行方向は観測者の視線方向を地面に投影した方向から A だけずれていて．航空機の姿勢は地面に対して水平であるとすると，全幅が W の航空機の視直径 D は，

    D = (W/r) ( cos^2(A) + sin^2(A) sin^2(E) )^(0.5)

    になる．

  • 観測時の高度角(E)は64度，画像から航空機の全幅の視直径(D)は0.13度．航空機の進行方向(A)はわからないが，0~90度の間のどこか．航空機の全幅(W)を34.09m(A320の場合)と仮定すると，航空機までの距離は13.5~15kmと計算され，航空機の高度 Z は Z = r sin(E) より12~13.5kmと推定される(なんか少し高すぎるような気がする？)．
• 速度

  • ２回セットで発光したストロボがつくった輝点は約0.13度だけ離れて写っていることから，ストロボの発光間隔の間に航空機は0.13度だけ移動したとわかる．ストロボ発光の時間間隔 t を仮に0.15秒とすると，速度 v は

    v = ( r D / ( sin^2(A) + cos^2(A) sin^2(E) )^(0.5) ) /  t

    より820~910km/hと推定される．